7/10~17(2007)にかけてIBRO, IBRO Satellite symposiumに参加・発表のためオーストラリア出張を行った。 7/10 の8:55 PM 成田よりCairns (Australia)へ発ち、7/11の5:25 AMの早朝にCairns空港に到着し、そのまま学会場へ直行し、IBRO Satellite symposium “Stem cells, axon guidance, and cell migration in the developing and adult brain”の会場へ直行。寝不足ながら、海外の大物達の熱のこもったpresentationを聴いている内に、私のtensionもかなり上がり、自分のpresentationも最高の出来であったと自負する。聴衆からは、かなり多くの質問を貰い、いいTalkであったと絶賛を受けて、感激した。このサテライト・シンポジウムへの参加は、かつてより交流のあったQueensland大学のPerry Bartlett教授からの誘いによるものであり、将来的な共同研究体制についてもじっくりと話し合うことができた。またreactive astrocyteのfate mappingについての共同研究につき、独国のMagdanela Götz (GSF)教授とdiscussionし、未発表dataの交換その他本格的な話し合いを行った。またこのサテライトシンポジウム主催者のLinda Richard博士やSeong-Seng Tan教授らの同世代の研究者と知り合い親交を深めることが出来たのも良かったと思う。
7/12 Perry BartlettやLinda Richardとともにメルボルンへ飛行機で移動、7/13よりIBRO WORLD CONGRESS OF NEUROSCIENCEに参加。7/13は、最終のpresentation終了後、英国の超大物研究者達(Medical Research Council (MRC)のChief Executive のColin Blakemore教授、University of Cambridge, Centre for Brain RepairのDirectorのJames Fawcett教授、Morris water maze taskで有名なMorris教授etc.)と会食に出かけ親交を深めることができた。7/14 はRNAのtracking and local translationに参加し、特に脆弱X症候群原因遺伝子産物のFMR-1と局所翻訳制御に関する最新の知見に触れることが出来、非常に勉強になった。夜は学会主催の晩餐会があり、前回のIBRO会長のEva Sykova 教授(Czech Republic)、ノーベル賞受賞者のTorsten Wiesel博士, 伊藤 正男先生(RIKEN)、廣川 信隆 先生(東京大学)らの著名な方々と懇談することができ、感激した。 7/15は、朝はSYMPOSIUM 26: STEM CELLS IN THE TREATMENT OF SPINAL CORD INJURY というシンポジウムで発表し、多くの質問を受け成果を披露することが出来たものと確信する。また脊髄損傷治療の国際的情勢について把握することが出来、勉強になった。また、同シンポジウムオーガナイザーのEva Sykova 教授(Czech Republic) 、Alan Mackay-Sim 教授(Australia)や講演者のJames Fawcett教授(UK)と情報交換を行うとともに、旧交を温めることができ大きな収穫があった。また、午後は当研究室卒業生坂口昌徳君の留学先のPaul Frankland博士(Toronto, Canada)と海馬ニューロン新生の機能的な解析に関する共同研究の打ち合わせを行い、かなり具体的なことを決めることができた。同日夕方よりPerry Bartlett教授(Queensland大学, Australia) のオーガナイズするSTEM CELLsに関するワークショップに参加し、講演を行った。日本国内でとても聞けないような新しい話しばかりでexciteした。特に、Brent Reynolds教授(Queensland大学, Australia)の新しい神経幹細胞培養法(semisolid culture)であるN-CFC法(Neural Colony Forming Cell Assay)に関する最新の情報は、現在のneurosphere法の clonalityに関する技術的限界を補うものとして大変参考になった。彼にはprotocolを送ってもらう約束をした。Perry Bartlett教授からは、高カリウム条件下で海馬由来のneuropshereのoptimumな培養条件の確立の話しがあり、大変興味深かった。またNew ZealandのRichard Fall教授のヒト脳バンクを用いた研究は圧巻であった。ヒトのRostral Migratory Stream (RMS) の発見に至る試行錯誤と、その深い考察には脱帽した。現在我々が進めているマーモセットのRMSの研究において、側脳室の連続性をMRIで確認する必要があることを痛感した。Richard Fall教授へは、抗Musashi-1抗体を送り、ヒト脳バンクでの発現を確認していただくよう、共同研究の打ち合わせを行った。
7/16午前中IBROに参加の後、午後はメルボルン郊外のMonash大学Australian Stem Cell Centreへ出向き講演を行う(“Neural Stem Cells: their involvement in adult neurogenesis and CNS-repair”.)ホストの中山直樹博士とはヒトES細胞に関する最新知見につき、情報交換を行った。また旧知の仲である同大学Cladue Bernard教授の研究室を訪問し、EAEモデルを用いた共同研究に関する打ち合わせを行った。その後メルボルン国際空港へ向かい、シドニー経由で帰国した。成田着は7/17の朝であった。時差もないため、17日の学内会議にも出席した。 今回のAustralia出張は、多くの友人や共同研究者らと旧交を温め、新しい友人と出会い、最新の情報を交換することが出来、大変収穫のある会議であった。またIBRO国際会も2500名というコンパクトなサイズの割には、世界の著名人が多く参加しており、効率よく脳科学全般の最新知識を得ることができ大変よかったと思う。是非次回も参加したいものだと思った。本出張をサポートいただいたSORST, JSTに心から感謝致します。